徹夜労働

早くから知っていましたが中々行く気になれないバイトがありました。

下宿の近くにある大日○印刷工場です。

経験者が語る悲惨な話に二の足を踏んでいました。

1年の秋に早稲田の友人が早慶戦に来いと誘ってくれ、

旅費を稼ぐためについに応募しました、

夕方6時から朝6時まで働いて5千円もらえます。

その頃 昼8時間働いて2千円程度でしたから金額は魅力です。

仕事は印刷で出た不要紙をプレス機で固めたものを機械から外し

別の不要紙をセットするのです。

大きなプレス機のそばで働くのですからとても危険です。

今思えばよくあんな危険な仕事を無防備な学生にさせていたものだと思います。

夜食がついていて食堂に行くとどんぶり飯に豚汁、漬物でした。

刑務所でも もっと良いものを食べさせてくれるのではと思いました。

でも食堂にあるタバコの自販機を見てなるほどと思いました。

ハイライトが一番高く、ずらりと並んでいたのは

”いこい”や”ひびき”、”エコー”でした。

眠気と戦いながら何とか朝まで働き、現金を受け取って下宿へ帰る朝

ふと思ってすぐそばにある広隆寺へ行きました。

6時すぎの広隆寺は誰もいません。

観光地になっているため、いつ行っても参道は人であふれ

とても思惟に耽るどころではありませんが

その朝はその景色にざわめきなど無く何か心が洗われる思いでした。

今回のバイトで得たものは5千円と静かな広隆寺でした。