貧乏学生

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今では当たり前になった携帯電話。
私の学生時代は余程の金持ちの子で無い限り、
間借りの下宿生活で固定電話もありませんでした。
大切な用件は大家さんが呼び出してくれるけれど、
あまり頻繁だと渋い顔をされるので
友達同士、お互いかけるのを遠慮していたものです。
ある時、仕送り日を前にして金が底をつきました。
同じ下宿のもう一人も無くなりました。
二人で空きっ腹を抱えて対策を考えました。
周囲は貧乏な者ばかりでなかなか良い案が思い浮かびません。
結局Mなら持っているかもと二人でMを訪ねることにしました。
電車賃も無いので5kmぐらい歩いて行きました。
Mの下宿に着きましたが悲しいことにMはいませんでした。
1時間ぐらい待っていましたが帰ってきません。
あきらめて下宿に帰り、今日は飯抜きかと寝転んでいると
階段を駆け上がる音がしてなんとMが入ってきたのです。
私の気持ちはいっぺんに明るくなりました。
すると私が話す前にMが口を開きました。
「おい、何か食わしてくれ。金がのうて今朝から何も食うとらんのや。」
「.......................]