平成2年に香港へ行ったときのことです。
現地では日本語ができる中国人のガイドが付いていました。
総勢40名ほどのツアーでした。
観光地に着くたび子供達が走り寄ってきて色んな物を売りつけようとします。
ビニール製のベルトを持って「10本1000円、10本1000円。」と叫びます。
土産にちょうど良いと買う人がいました。
あんなベルトをあげても誰も喜ばないでしょうに............。
そしてバスが動き出すとバスの窓に向かって「20本1000円、20本1000円。」
と、言い出しました。
さっき買った人が憤慨していました。
まあ一つ勉強になったことでしょう。
ある場所では大人が時計を見せながら
「ロレックス2個で1万円」と云います。
仲間の一人が「すぐ壊れるんやろ。」とひやかしたら
「ダイジョーブ、中身日本製。」と答えました。
こういった商売に引っかかることもなく最終日、空港へ向かうバスに乗りました。
朝早い出発で皆ボウーッとしています。
突然バスが止まり、バスの中に4,5人の中国人のおばさんが乗り込んできました。
彼女達はきょろきょろ乗客の顔を見ています。
一人が私を見たと思うと袋の中からビニールに入った物を取り出し
私にそれを押しつけ「3000円。」と云いました。
ビニールの中には私の写真が焼き付けられた皿と古切手、
コルク製のコースターが入っていました。
その写真はレベルス・ベイに行ったとき中国人ガイドが撮ったものでした。
そういえばあの時カメラを向けたので仲間が一緒にポーズを取ったら
そのガイドが手で振り払いながら「一人ずつ。」と云ったのでした。
それにはこういうわけがあったのです。
私は寝ぼけた頭で「いらない。」と云うと
「ダメッ、コレアナタ。」と写真を指さして云います。
「高い、まけて。」と云いましたが首を横に振ります。
その剣幕に負けてつい払ってしまいました。
やはり日本人は中国人の敵ではないようです。
この人達と商売をしたら勝てるはずがありません。
私も一つ勉強をして帰途につきました。
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