下宿その4

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壽寮には2年間住みました。

隣とその隣が友人だったので和気藹々と楽しく過ごせました。

時には5,6人集まって水炊きパーティーをしました。

骨付き鶏で鍋をし、食べ終えたら骨をきれいに洗って

再度残った出汁に入れてグツグツ煮ます。

すると骨が柔らかくなるのでそれを又みんなで食べていました。

貧乏学生時代の懐かしい思い出です。

壽寮には一つ問題がありました。

隣の友人の部屋の窓から5m先には隣の家があり

そこに住んでいるのが町内会長です。

友人の部屋で普通に話をしていると町内会長が怒鳴り込んできます。

声がうるさいそうです。

夏場はどこも窓を開けていますから声が筒抜けでした。

特に大声を出しているわけでもないので私たちも言い返します。

すると彼は逆上して

「お前ら、町内に住めんようにしてやる。」

と言い出しました。

ますます喧嘩になります。

町内会長の奥さんが彼を止めます。

「お父さん、もういい加減にしなさい。」

と腕を引っ張って連れて行きました。

そういったことが3回ありました。

それからは集まるのは2階の友人の部屋に変更しました。

今考えても町内会長がもう少し柔らかく注意にきたら

喧嘩にならなかったと思います。

まあ彼にしたら随分我慢して堪忍袋の緒が切れたのかも知れませんが。

4年になる時、別の友人が自分の下宿に来ないかと誘ってきました。

彼が住んでいるのはお寺です。

1階は家人が住み、2階が80畳の大広間になっています。

その2階の隅の天井に針金を付けそこから白いカーテンを垂らし

8畳位の部屋を両端に2つずつ作って下宿させていました。

下宿代は電気代込みで3千円です。

これはそこのおばあさんの小遣いになっていました。

ところが4人いた下宿生のうち彼を除く3人が

卒業や引越しで出て行ったため1人になったのです。

そこで彼が私を誘いにきたのです。

私は3千円が魅力で引っ越すことに決めました。