下宿その5

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お寺の2階のだだっ広い広間に友人と2人で住むようになりました。

広間の端と端とに住みましたから

カーテンだけの仕切りとは言え充分にプライバシーが保てます。

でも月に1回だけ部屋を明け渡さなければいけません。

日曜日にその寺の檀家が集まりお経を読むのです。

その日は朝10時までに荷物を隅に固め、

カーテンを開けて外出します。

下宿のおばあさんからは一緒にお経を読むよう勧められましたが

そんな気は全くありませんのでさっさと外出します。

その日は他の友人の下宿で過ごします。

夕方4時過ぎに下宿に戻ると余った仕出し弁当を置いてあります。

仕送り前など涙が出るほど嬉しかったものです。

4年なので就職活動が始まり友人が帰省すると一人きりになり

広くて大きな仏壇があるので夜はとても不気味でした。

京都で辛かったのは夏の暑さです。

夏休みになるとすぐ帰省していたのですが

4年の夏は盆前まで帰ることができませんでした。

就職前に車の免許を取ろうと4月に自動車学校に入校しました。

するとすごく混んでいて3日に1度しか乗れません。

夏休みになっても仮免までもいけません。

仕方なく下宿に残り、3日に1度自動車学校に通いました。

他にすることも無く(もちろん勉強などしません)映画村でアルバイトをしながら過ごしました。

でも京都の夏は半端ではありません。

それなのに扇風機も持っていません。

団扇だけが頼りです。

本を読んでいるとあごからポタポタと汗が落ちていました。

若かったから耐えられたのでしょう。

今では絶対不可能です。

盆前にある程度めどがついたので逃げるように帰省しました。