責任

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汚染米騒動が大きくなっています。

農水省は96回も立ち入り調査をしたそうですが

それで見抜けないというのはどんな調査だったかうすうすわかります。

私が今までに経験した役所の調査がそうでしたから。

最初に経験したのが就職してすぐの頃の消防署の立ち入り検査です。

大学を出て就職したのは一部上場の大手スーパーでした。

その店にある非常階段というのは実際は器具置き場でした。

衣料品の売り場は時期によって大きく変化します。

シーズン当初は綺麗にテーブルに置いて見せながら売りますが

処分時期は平台や円形ハンガーで安さを強調します。

それらの器具が必要だったり不要になったりします。

リースの器具なら返却すれば良いのですが

買取の器具ならどこかに保管しなければいけません。

ところが会社はそういう もうからない場所を作ろうとはしません。

仕方なく置き場所を探すと非常階段しか無いのです。

入社時からそこに置くよう指導されていたから罪悪感も危機感もありません。

ところが消防の立ち入り検査がある時は別です。

前日の朝礼で明日検査があるから片付けるよう指示があります。

夕方から非常階段の整理です。

器具は仕方なく作業をするバックヤードに押し込みます。

終わるまで仕事に支障がでます。

売り場も通路をしっかり確保します。

非常灯を遮っているような吊りポスターも移動させます。

当日の午前中、消防署の制服を着た人が数人、店長を伴って巡回していきます。

非常階段も覗いています。

一通り視察が終わると店長とレストランに入り昼食です。

そして1,2点改善事項を指示して帰ります。

消防署の人が帰ると交換手から各フロアーに連絡が入り

バックヤードに詰め込んだ器具を非常階段に戻します。

今から考えてみると本当に危ないことをしていたと思います。

ビル火災の度にそういう事例を見聞きし、思い出します。

でも私のいた会社だけが特別だったわけではありません。

当時日本一の売り上げを誇っていたスーパーの支店が近くにありましたが

そこの売り場は凄い在庫量で通路が殆ど確保されていませんでした。

エスカレーターを上がってすぐの通路にも平台を一杯置いて

とても通りづらい売り場です。

ある日市場調査に行きびっくりしました。

エスカレーター前に何も置かれていません。

通路もしっかりと取ってあり はみ出し陳列もありません。

どうしたのかと思っていたら通路を向こうから

消防署の制服を着た人が歩いてきました。

本当に笑えない笑い話です。

消防署の人たちはこの店に普段買い物に来たことがないはずはありません。

それなのに前日連絡し、きちんと整理された売り場を見て

問題無しと判断するのです。


今回立ち入り調査をした農政局は自分達に責任は無いと言ったようです。

残念ですが間違っています。

責任が無いのでは無く責任感が無いと言うのが正解でしょう。