永世と英雄

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日本の輸出、輸入とも最大の相手国が中国になったそうです。

私が小学校や中学の社会科で習っていた頃

こんな時代が来るなんて夢にも思えませんでした。

その頃の中国はソ連と同様、西側社会とは殆ど断絶しており

わずかに入ってくる商品は

「安かろう悪かろう」の典型的な物でした。

そんな時代に私が中国製品に出会ったのは中2の時です。

当時中学生の憧れは腕時計と万年筆でした。

どちらとも高校入学時に買ってもらうのが当たり前でした。

ところが一部の裕福でかつ甘い親を持った者が

万年筆を買ってもらい学校で見せびらかしていたものです。

それを多くの持たざる者たちは純粋に羨ましがったものです。

そんな時に一つの朗報が生徒間を駆け回りました。

私が住む福山市に今は無き「くらや」と言う

スーパーと百貨店の中間的な店があり

そこに中国製の安い万年筆が売られているとの事です。

当時プラチナやパイロットの万年筆は3〜5千円程度でしたが

その中国製は500円です。

これなら貯めていた小遣で買えます。

私も次の日曜日に親と出かけました。

(当時の規則で日曜日に繁華街に出かけるときは

親同伴で制服着用が義務付けられていました。)

「くらや」に入るとそれは正面玄関のすぐ横の陳列ケースにありました。

2種類あって名前が「永世」と「英雄」だったと記憶しています。

噂では外貨獲得のために

紅衛兵が作っているとのことですが真実は定かではありません。

その万年筆を買ってしばらくは喜んでいましたが

すぐに飽きてしまいました。

理由はいくつかあります。

先ずパイロットやプラチナに比べて

外観が非常に不細工だったことです。

そして前者がインクはカートリッジタイプだったのに

中国製はインクつぼからスポイド式に吸い上げる旧式タイプだったことです。

しかもしょっちゅう不具合でインクが大量に出てノートを汚してしまいました。

そこで得た教訓は

「安いものは安いなりの理由がある。」という事でした。

もっともその教訓は今に至るまで活かされていませんが。