映画村その6

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映画村ではローテーションで色んな仕事をしましたが

一番辛かったのは団体バス専用駐車場の係りです。

オープンして1週間、”これはたくさんの客がくるぞ”と思った東映幹部、

映画村の入り口から150mのところに団体バス専用駐車場を作りました。

そこへ東映社員のおじさん1人とバイトの大学生2人が朝9時30分に行きます。

そして団体バスが来ると駐車位置を案内して料金を徴収します。

ところが土、日曜日はそれなりにバスが来て大変ですが、

辛いのは平日です。

何せ1日に3,4台のことが多いのです。

実働は15分くらいでしょう。

これは地獄です。

何もしないで1日じっとしていなければいけません。

ポケットに文庫本を忍ばせてそっと読んでいたらおじさんに怒られました。

昼休憩のくるのがいかに待ち遠しかったことか。


確かドストエフスキーが書いていたと思いますが

人間にとって最も過酷な刑は、

囚人にスコップで穴を掘らせます。

掘り終わったらその穴に土を埋めさせ元に戻します。

埋め終わったら又そこを掘らせます。

これを一日中何度も何度も繰り返させ、それを毎日続けるのです。

たいていの囚人は精神障害になるそうです。

人間にとって無意味な仕事、無意味な時間を強制することは

ある意味、死刑よりもひどいことなのかも知れません。