究極の寝所

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Sが寝たのは救急車、駅のベンチだけではありません。

究極の場所があります。

彼はK大を1年留年して卒業した後 某製パン会社に就職し、

製造ラインの機械をメンテナンスする部門に配属になりました。

地元福山を離れ広島での寮生活でした。

入社して最初の年末、彼は仲間と飲みに行きました。

そしてそのまま車で帰宅したのです。

すると検問にぶつかり、風船を膨らませたら当然ですが反応が出ました。

車を降りるよう指示され線の上を真直ぐ歩くよう言われました。

酔っていたSは真直ぐ歩けませんでした。

すると警官はテレビでよく見るように

「○時○分、飲酒運転で逮捕する、」

と言ってSに手錠を掛けたのです。

Sはパトカーで警察に連行されそのまま留置場に入れられました。

12月だというのに留置場には毛布が1枚置いてあるだけでした。

Sはその毛布の半分の上に体を置き半分を上に掛けて寒さを凌ごうとしました。

しかし12月の留置場はとても寒く歯がガチガチ鳴り

とても寝ることができませんでした。

朝までの時間がとても長かったそうです。

朝になり足音が聞こえてきました。

出してもらえると喜んだのですが

守衛が朝食を持ってきただけでした。

その朝食はコッペパンと水だけでした。

腹が減っていたSは寒さに震えながら

そのコッペパンを冷たい水で喉に流し込みました。

朝食が終わり小1時間経ったころ守衛がやって来て出るように言われました。

そして鉄格子を出たとたんガチャリと手錠を掛けられ腰紐も着けられました。

このときSは本当に悪い事をしたと思ったそうです。

そして取調室に連れて行かれ調書を取られ

両手全ての指の指紋を取られ正面と左右の写真を撮られました。

そして又留置場に入れられ

身元引受人の上司が昼前に来てやっと釈放されました。

そして罰金、免停を受け、

春には会社で1年間昇給停止の処分も受けました。

同窓会で会ったとき皆から

「前科ものとは話をせん。」とからかわれていました。