救急車

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Sはそれからまだ10分も うだうだとやっていたようです。

そしてふと気がつくと私たちの姿が見えません。

あわてて外へ出ましたがやはりいません。

Sはタクシーを拾い、うろ覚えの私の下宿へ何とか辿り着きました。

しかし当然私たちは帰っておらず鍵がかかっています。

Sは途方にくれました。

しかしここからです。

私たちの時代はまだ生きていくたくましさ、力強さを持っていました。

Sがどうしたものかと考えているとき、

道路向こうの明かりがついている消防署が眼に留まりました。

Sは道路を渡り消防署に入っていきました。

するとそこに緊急出動用の救急車があります。

Sがドアに手を掛けたら鍵はかかって無く開けることができました。

何とSは救急車の中に入ってそのまま寝てしまったのです。

30分くらい経ったとき消防署員がSに気付き起こしました。

Sは友人の下宿に来たが留守で泊まる所が無いと訳を話しました。

消防署員は救急車の中で寝てもらっては困ると言い、

皆が焚き火をしている所に連れて行き朝までここで過ごすよう言ってくれました。

そうやってSは朝まで過ごし始発電車で吹田へ帰っていきました。

2年前の同窓会での二次会はこの話で大いに盛り上がりました。

帰るときスナックのママが電車の時刻を調べ

Sに始発電車の時間を伝えたので またまた大爆笑でした。

このSという男の面白いエピソードを明日書きます。