面影橋から

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及川恒平さんのコンサートに行きました。

夕方6時20分開演ですが会場のオリエント美術館には5時40分に着きました。

少し早いかなと思いながら美術館に入るとも既に10人くらい並んでいます。

私もその列に並ぶとその後次々と入ってきます。

見事なまでに全員50代、60代と思えるおじさんおばさん達です。

開場の6時には60人くらい集まっていました。

中に入るとすぐの場所にパイプ椅子が100くらい置いてあり

そのすぐ前に譜面台があります。

私は一番前の中央から2つ目に座れました。

譜面台まで2メートルもありません。

こんなに近くで良いのかなと思うくらいです。

開演時間にはすべての椅子がおじさんおばさんで埋まりました。

すると座っている人たちと何の違和感もないおじさんが

すっと横から入ってきて譜面台の前に立ち

「こんにちは、及川です。」と挨拶です。

話だけマイクを使い、唄はマイク無しですると説明し曲に入りました。

最初は有名な”雨が空から降れば”です。

これは高2の文化祭で友人が歌うのを聞いた懐かしい曲です。

それを2メートルも離れていない場所で本人がマイク無しで歌ってくれます。

相変わらずきれいで声量のある歌い方です。

すごく感動しました。

そして唄と唄の間に入る軽妙なトークです。

肩肘の張らない自然な会話で会場を和ませます。

彼の人柄でしょうが私が若い頃のフォークコンサートの印象は

歌手と観客のバトルのような気がしていました。

歌手は客に勝とうとし、客も何かあれば野次り罵倒します。

歳月は人を丸くするのに最適です。

皆が一体感を感じられるひと時でした。

小一時間経つと少し休憩が入りました。

その休憩が終わる頃スタッフの人が前に出てきて

「及川さんの要望ですがマイク無しのため前と後ろでは音響に差があるので

後半は反対側から歌います。皆さん立って椅子を反対に向けてくださるようお願いします。」

との事です。

突然一番前から一番後ろになってしまいました。

そしてマイク無しで歌う彼は美術館内を歩き回り

二階に上がったりもしましたがどこからでもその大きな歌声は聞こえてきました。

本当にどこにいるのかわからない”声はすれども姿は見えず”の状況を楽しみました。

フィナーレは”面影橋から”です。

私の一番思い入れのある曲です。

その後アンコールに応えて2曲歌い終演となりました。

本当に感慨深いコンサートでした。